20080924

エヴァ・ブラウン(2)

● エーリッヒ・シャーケ(著)渡辺一男(訳)(2002)『ヒトラーをめぐる女たち』 TBSブリタニカ





エーファ・ブラウン (pp.163~221)

(p.176) 「エーファ・ブラウンは17歳で、ファッションと映画スターについてのおしゃべりを好む、まったく無邪気で世間知らずの娘だった。・・・エーファ自身はこの最初の出会いをのちに姉にこう話している。『わたしは閉店後も店に残って、書類の整理をしていたの。そして書類ファイルがキャブネットの高いところにあったので、ちょうど脚立に上がったところだった。そこえ店主が入ってきて、一緒に年寄りの紳士が来たの。おかしな口髭を生やして、明るい色のトレンチコートを着て、大きなフェルト帽を手に持って。ふたりは、わたしの筋違いの部屋の隅に腰を下ろした。わたしが振り向かずにそっちを窺うと、その男性がわたしの脚を見ているのに気づいたの。わたしはこの日スカート丈を短くしていたのであまりいい気持ちではなかった。なぜって裾の縁取りがちゃんとしているかどうか確信がなかったからよ』エーファはそろそろと脚立から下りた。雇い主が彼女をこの風変わりな紳士に紹介した。『ヴァルフさん、うちの有能な若いエーファ嬢です』 エーファは紳士に手を差し出し、微笑んだ。店主は彼女に、角を曲がったところにある食堂に行って、ビールとレバーケーゼ(ソーセージの一種)を買ってくるように言いつけた。使いから戻ってくると、エーファは自分の分をがつがつと食べてしまったが、ビールを飲むのはほんの少しだけにした。無作法と思われたくなかったからだ。『その年配の紳士はわたしにお愛想を言ってくれた』とエーファはこのときの出会いの続きを語っている。『わたしたちは音楽について、国立劇場のお芝居について話した、と思うわ。そのとき彼はじっとわたしを見つめていた。・・・』・・・」